「風にころがるシャツ展」は、茨城県大洗町と高知県黒潮町という太平洋の2つの渚を舞台にしたオリジナルTシャツ展です。みなさんのイラストや写真をプリントしたTシャツが、海風の中をカモメやハマボウフウと一緒にころがっていく。そんな海辺の風景とTシャツが作り出す素敵な空間を一緒につくりませんか◎

そもそものきっかけ


 2019年1月26日、私は高知県幡多郡黒潮町を訪れました。

 この黒潮町は南海トラフの影響による津波高予想が最大34mと発表された土地です。私の住む茨城県大洗町にあの日訪れた津波は最大4m。だからこの数字がいかに途方も無いものかよくわかります。

 しかし私があの街で見たのは、この予想に悲観するわけでも、自虐に陥るわけでもなくまっすぐに日々を生きる人々の姿勢でした。この力はどこから湧いてくるのだろう? 帰路、私の胸中はその問いでいっぱいでした。

高知県黒潮町の海
高知県黒潮町の海

 いまも確たるものはありませんが、一つの答えはあの街がこれまで積み重ねてきた文化の力なのではないかということです。もしあの街にどんな困難が訪れようと、きっとそれが街を守るだろう。そう思わずにいられません。

  翻って私が生まれた街を想うとき、そのような文化の積み重ねが未だ充分でないことに気づきました。私が生まれた街もかくありたい。どんな困難をも乗り越えられるしなやかさを、可能性として次の世代へ残したい。そう考えたとき、私はこの街にも文化の、生あるものの積み重ねを形にできる土壌と人の輪、そして作品が必要だと考えました。

 

***

 

 じゃあまず何から始めようか。大切なのは「楽しい!」「かっこいい!」「面白い!」というシンプルな気持ちです。あの街の文化の力を体現するイベントの一つに、黒潮町のNPO砂浜美術館が主催する「Tシャツアート展」があります。そこでこの「風にころがるTシャツ展」。形から入るようでなんですが、この姉妹イベントを大洗でも開催してみよう。冒頭の津波の話に引き寄せて考えれば、大洗町はかつての「被災地」、そして黒潮町はいつか困難が訪れるかもしれない「未災地」です。未災地から被災地へと黒潮にのって文化の連鎖がやってくる。なんだか何かが始まりそうなストーリーじゃないですか!

 私のこのような企画にのっていただいたメンバーとともに、自分たちのTシャツ展を開催しよう! それがそもそもの始まりです。

 この企画がどんな未来を迎えるのか今はわかりません。でもひょっとすると、私の生きる街は今よりも強く、しなやかで、かっこよく、面白くなるかもしれません。皆様におかれましては、ぜひこのチャレンジをご覧ください。そして感じ入ることがあれば、ぜひこの輪にご参加ください!

風にころがるTシャツ展実行委員会 代表 栗原敬太


 「風にころがるTシャツ展」は高知県黒潮町のNPO砂浜美術館「Tシャツアート展」のフレンドシップイベントです。黒潮にのって、高知県から茨城県の海岸へ新しい風景がやってくる。なんだか何かが始まりそうな予感がします!